『特急にっぽん』

1961年、川島雄三監督の東宝映画、主演はフランキー堺で、相手役は団玲子と先日亡くなられた白川由美。

                    

話は特急こだまの車内食堂をやっていた日本食堂のコックのフランキーと、同じくウェイトレスの団れい子らの恋物語。

上野だと思うが、全員が会社の寮に住み、列車で働いている。

多数の若い俳優が出てくるが、それはそのまま当時の東宝の社員俳優たちだった。

東京から大阪まで6時間半かかるが一応は特急で、新幹線は超特急と呼ばれるのである。

グランドホテル形式なので、上流からスリ(中島そのみ)に至るまで、様々な階層の人間が交錯する。

一番おかしいのは京都に行く講中の連中が「ありがたや節」で団扇太鼓を叩いていることで、この辺が川島雄三らしさである。

川島雄三というのは、松竹大船の監督の常で、江戸落語のような、半分ふざけたようなセンスが専門で、まじめが嫌いなのである。

『幕末太陽伝』も、川島本人は、別に名作を作るつもりで撮っていたわけではないと思う。

今村昌平的に言えば、「祇園で如何にうまい酒を飲むにはどうしたら良いか」を考えて映画を作っていたのだろうと思う。

日本映画専門チャンネル

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