『モスキート・コースト』

前から見たいと思っていたのが、イマジカBSで放送されたので見たが、予想以上に大変に面白い作品だった。

                                                           

主人公のハリソン・フォードの人間が凄い、子供からは天才と何度も言われるが、本当に信じがたい男で、多くの発明をし、なんでもできてしまう器用な男なのだ。

そして、消費大国のアメリカを呪詛しているところがただ事ではなく、それに追従している日本や韓国も大嫌いで、その精神的支柱のキリスト教が大の反対なのである。

彼は、アメリカはいずれ滅びるとして、家族全員で中米のホンジュラスに移住する。するとボルチモアとホンジュラスに教会を持っている一家も一緒になり、二人はことあるごとく対立する。

妻はヘレン・ミレン、息子は後に若死にするリバー・フェニックスである。

そこで、フォードは巨大な冷蔵装置を作る。火で冷凍させるもので、ガス冷蔵庫と同じ原理なのだろう。無事完成し、そのほかジャングルを切り開いて畑を作り、養魚場で魚の飼育も成功する。

氷は、現地の人間に「文明」を与えるもので、彼はさらに奥地の住民にも大変な苦労をして氷塊を持っていくが、それは途中で溶けてしまう。

そこに不気味な3人の白人がいて、彼らはフォードの村に降りてきて居座ろうとする。

誰に対しても妥協しない彼は、嘘をついて彼らを冷蔵塔のなかに寝かせ、火をつけて凍らせて凍死させようとするが、彼らは暴れて内部から銃を乱射し、冷蔵塔は大爆発し、村は消滅してしまう。

川を下って河口に出たフォードは、今度はそこに自分の家を作るが、大嵐に遭い、船はバラバラにされる。

だが、それにもめげず、今度も上流に理想の村を作るとして上流に向かって船を進める。

上流に行ったところで、岸辺から讃美歌が聴こえてきて、上陸したフォードは、教会のテレビでテレビ伝道師の説教を聞いている現地人を見て、再度彼の怒りが強く沸く。

この辺の執拗さはまことに凄く、日本人にはない性格であろう。フォードは、教会にガソリンをかけて燃やしてしまうが、牧師の銃で撃ち殺されてしまう。

川を下る船の中で、家族に見守られてフォードは死んでゆく。

彼が言うように西欧文明におけるキリスト教の強さはその通りだが、フォードが信じているのも、「技術と自然の調和教」とでもいうべき信仰のように思えた。

脚本は、『ザ・ヤクザ』や『太陽を盗んだ男』のレナード・シュレイダーである。

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