『海の野郎ども』

新藤兼人脚本・監督の日活映画。主演裕次郎、安井昌冶ら、東京港に入港した外国貨物船の話。
積荷の鉄くずを横流ししている船長以下の白人船員と下級船員のインド、アラブ人との対立が主題。
最後は悪人連中の下っ端だった裕次郎も彼らから別れ、自立の道を暗示して終わる。

船が港に入ると、多数の商人がやってくる。これは船に食糧等を供給するもので、マリン・サプライヤーズと言い、日本語では「艦船商工業」と言う。
かつては港湾局の許可業であったが、現在はない。ここでは、食糧の他、女性も供給している。石井輝男の『ライン・シリーズ』にも同様の描写があった。

一番おかしかったのが、下級船員が「反乱」を起し、自国の独立を告げられ、「独立!、独立!」と叫び、アラブ的音楽(伊福部昭の「ゴジラ」的ドンドコ・ドラム)で踊るところで、これには参った。

アラブ人船員のリーダーがプロレスラーのユスフ・トルコ。
さすがに裕次郎とのアクション・シーンが上手く、裕次郎に手加減している。

アラブ人船員で、黒塗りしてジェリー・伊藤が出ている。
この人は、舞踏家伊藤道郎の子で、伊藤喜朔、千田是也の甥である。60年代映画の代表的外人の一人。

裕次郎がこんな映画にも出ていたという珍品的作品。
撮影が宮島義勇でやはりすごい。

言うまでもなく新藤兼人は大脚本家だが、監督としてはどうか。
私はいつ見てもやたら緊張させられ、息苦しい作品が多く、苦手である。
これも見ていて大変苦しい映画であることは間違いない。

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