阿佐ヶ谷ラピュタでの中川信夫監督特集。新東宝が倒産後、小森白、高橋典らと撮ったドキュメンタリー。題名は、大ヒット映画『世界残酷物語』の頂き。
内容も、『世界残酷物語』に倣い、日本の奇祭、イカモノ喰い、前衛芸術などで、言ってみれば今テレビでよくやっている、「世界仰天ニュース」程度の内容である。
アイヌの熊祭りで、熊を生贄にし、その皮を剥ぐあたりがショッキングだが、全体に中川監督らしくほのぼのとしている。
そして、制作された昭和38年という年は、日本経済の高度成長が始ったばかりで、まだ後の狂騒的な雰囲気まで行っていない時代である。
特に、奇祭等取材先の、田舎の人々ののんびりした表情が捉えられているのが大変興味深い。
この時期、特に田舎ではまだ高度成長の効果は波及していなかったことがよく分かる貴重なフィルムである。
あまり上映されない作品なので、なんと開場30分前に満員で、入れずに帰る人多数。