稀勢の里が優勝して、横綱になった。
「少し甘い気もするが、指田はどう思うのだ」と聞かれたので、一応祝福しようと答えておいた。
相撲協会が、日本人力士の横綱昇進にひどく慎重になったのは、言うまでもなく双羽黒の失敗に懲りたからである。
双羽黒は、優勝したこともなかったのに、日本人横綱がほしいとのことで、無理やり横綱にしてろくに優勝もできずに引退のざまになった。
これに割を食ったのが栃東で、優勝したのに横綱になれなかった。彼は、朝青龍に唯一勝てる日本人力士で非常にうまかったが生来小柄だったので相当にハンデがあった。そのために体重を増やし、最後は150キロくらいまでに増量したが、それが却ってバランスを崩すことになり、土俵でよく滑ったりして負けていた。要は体重を増やせば強くなるというものではないのである。
さて、稀勢の里である。先場所は、2横綱が休場し、豪栄道も最後は休場するなど、彼には非常にすべてが有利に運んだ。
まあそれも運であり、先場所はたぶん二度と来ない幸運だったと思う。だが、それを生かせたのも、彼の実力の内である。
私が稀勢の里を好きになれない理由は二つあり、一つは勝ったときに、「どや顔」をすること。
さらに、立ち合いがいつも変で、相手と合っていなくて、時にはずるい立ち方だなとさえ思えることである。
この二つを直して行けばいい横綱になれると私は思う。
そして、稀勢の里で評価できるのは、怪我がほとんどないことで、これは白鳳も同じであり、無事これ名馬で、スポーツの大選手はみな怪我が少ないことがある。
プロ野球でも王、長嶋はケガで休むことの少なかった選手である。
白鳳は全盛期から見て、現在の力は70%くらいだが、それで他の力士とちょうどよいレベルになったといえるだろう。
日馬富士と鶴竜は、元が小柄なので動きに切れと俊敏さがなくなると急にダメになるに違いなく、たぶん、数年後にはこの二人の内、どちらが引退するのだろうが、そのときは、玉鷲が横綱候補になってくると私は予想している。
いずれにしてもモンゴル勢は強いということであり、稀勢の里は大変になるだろうが。