『美女と液体人間』『電送人間』

川崎市民ミュージアムの「円谷英二と空想科学映画」シリーズ。
それぞれ監督は本多猪四郎と福田純。どれも、戦時中の日本軍の秘密研究の成果が、悪用されるもの。『電送人間』は、アクション派の福田純なので、演出はキビキビしていて良い。
どちらもキャバレーの場面があり、半裸のダンサーが踊るのは、子供を連れて見に来た親父向けのサービス。

だが、どちらもあまり当たらなかったのは、液体人間(人間がゼリー状になる)と電送とは言え普通の人間(中丸忠雄で、真剣な顔は不気味だが)が突如登場するだけで、怪物・化物としての迫力、面白さには欠けた点だろう。

その結果、東宝の「空想科学映画」は、ゴジラ以来の怪物との決闘映画になる。
そして、60年代後半以降、ウルトラマンの登場によって怪物との格闘技が中心となり、「プロレス・ショー」になり、完全に子供向けの「ジャリすくい映画」に堕落する。

『電送人間』の冒頭が、遊園地のお化け屋敷ショーだが、この呼び込みが沢村いき雄で、遊園地は懐かしい、今はなき多摩川園。
ここは、隣にあった「田園コロシアム」と共に、東京城南地区の数少ない娯楽施設だったが、70年代に壊され、テニスコートと住宅になった。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. ど風呂グ より:

    真夏の夜の変身人間スペシャル

    ある寝苦しい真夏の夜。 近くの映画館で変身人間スペシャルという特集上映が オールナイトであったので、行ってきました。 1960年前後に作られた総天然色の映画4本。 登場人物の服装や、街並みを見てるだけでも楽しめます。 全作品とも、『ウルトラマン』 …

  2. 「ホムラ」は恐怖に濡れて

    ここ数日、私の住む地方でははっきりしないお天気が続いて。気分もすっかりブルーです

  3. 60式どこでもドア

    「テレビが面白くない時、見たくなる映画」ってありませんか?例えばお仕事が終わって

  4. 美女と液体人間 ( 1958年 / 東宝 )

    液状化した怪物 三崎の“女”というのが タイトルにある「美女」。白川由美 演じるこのキャバレーの歌い手がみごとに“はまり役”でした。妖しい色香がなんともいえずこの作品にピッタリ!
    華やかで明るいキャバレーと、液体人間が行動を起こす激しい雨の暗い街も …

  5. 美女と液体人間 ( 1958年 / 東宝 )

    液状化した怪物 三崎の“女”というのが タイトルにある「美女」。白川由美 演じるこのキャバレーの歌い手がみごとに“はまり役”でした。妖しい色香がなんともいえずこの作品にピッタリ!
    華やかで明るいキャバレーと、液体人間が行動を起こす激しい雨の暗い街も …