黒木和雄について

今年に死去されて、大変評価が高くなったようだ。
確かに、映像構成力は大変強く、あえて言うなら映像の作り方は、かの黒沢明に匹敵するものがあったと思う。メジャーの撮影所に所属していたら、巨匠になったかもしれない。
ただ、彼の思想的内容はかなり希薄で、その時のシナリオの出来によって中身と出来は左右されてきたと思う。

昨日見た、『日本の悪霊』や『原子力戦争』のように政治や思想を直接対象としたものは上手く行っていない。

意外にも通俗的な体質で、最高作は『祭りの準備』だと私は思う。
晩年の戦争4部作は、『TOMORROW 明日』しか見ていないが、思想的なものというより、相当にメロドラマ的である。
叙情的な映像と音楽(松村禎三)が黒木の一番の良さだったと思う。

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