『原子力戦争』

日活アクション+ファッション+ルポ=駄目映画だった。
制作友田二郎・脚本鴨井建比古+主演・山口小夜子+原作・田原総一郎であるが、なんとも中途半端な、出来の悪い映画だった。
この映画は、黒木和雄がヒット作『祭りの準備』の後だったので、多分皆の期待が大きく、普通ならありえないトップ・モデル山口小夜子の出演となったのだろう。

福島県太平洋海岸で、心中死体が発見され、東京からヤクザの原田芳雄が来る。
トルコ嬢だった女は、自分のもので、その死因を探る。
彼女は地元有力者浜村純の長女で、次女は風吹ジュン。

山口は死んだ原発の技師の妻だが、原田と出来たり、最後は原子力利用の権威である大学教授岡田英次と一緒になることが暗示される。

僻地に左遷された新聞記者の佐藤慶が、原発事故を原田を使って探る話がメインだが、松林を山口がしゃなりしゃなりと歩くシーンが挿入されるなど、大変困惑させられる。
山口の演技は、勿論論外だが、原田に話しかけさせて演技させるなど、上手くやっている。

地元の田舎ヤクザで、阿藤海が出てきて、意気がるのがるのが笑える。当時は、俳優座の下っ端だったのだ。
同じく俳優座のベテラン女優だった三戸部スエさんが出ている。
彼女は俳優座の分裂劇で、何故か原田芳雄、中村敦夫らの過激派の脱退組に参加していたため、この頃は『青春の殺人者』などのATG映画によく出ている。

今日は、黒木和雄の1970年代の『日本の悪霊』と『原子力戦争』の2本を見て、予想通りよくなかったが、どちらも「本気なの」と言いたくなるものだった。
松村偵三の音楽がどちらも余り良くなかった。

この映画は、タイトル映像でも『原子力戦争』となっていたが、何故か『原子力戦争・LOST LOVE』となっていた。一体いつ題名を変えたのだろうか。
勿論、作者の自由、権利だが。

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