歌手のペギー葉山が亡くなったが、先日録画しておいた映画があったので、見る。
昔見たときには、かなり暗い映画のように記憶していたが、今度見てみるとそうでもない。
話は、刑務所から出てきた小林旭のところに、元の組の二本柳寛と西村晃が、
「元の組に戻ってこい」と迎えに来るところから始まるが、旭は嫌だと故郷の高知に行く。
ちょうど、祭りが行われている。
高知には、母親高野由美がいて、特攻隊で死んだ兄(旭の二役)と恋人の南田洋子のことを思い出す。南田は、出撃の時に、「南国土佐を後にして」を口ずさんでいる。
また、恋人だった浅丘ルリ子がいるが、ヤクザの内田良平によって、父の借金のかたに婚約させられている。浅丘ルリ子は、この時19歳だが、言うまでもなく可愛いく、この頃旭とルリ子は実際にも恋人同士だった。
真面目な仕事に就きたいとする旭だが、二本柳と西村によって妨害され、仕方なく再び東京に出てくる。まさに南国土佐を後にして、である。
南田洋子は、赤坂で料亭をやっていて、そこには妹の中原早苗もいて、彼女は旭が好きでずっと追いかけていく。まあストーカーである。
ここでも西村らの就職妨害があるが、最後土佐から上京してきた内田良平と決着をつけるため、旭は賭けダイスをすることを承知して、秘密クラブでその秘技を見せる。
撮影の高村倉太郎さんの回想だったと思うが、小林旭は本当に器用な役者で、ダイスを振って全部のダイスを立てたことがあったそうだ。
勿論、小林旭が見事な技で勝ち、さらに内田らとのアクションもこなし、浅丘ルリ子と抱擁するが、なぜか旅立っていく。
ペギー葉山も、刑務所での慰問公演と東京での偶会(その意味がよくわからないが)で出演。
その後、これが小林旭のヒットシリーズの「渡り鳥シリーズ」の原型となる。
監督の斎藤武市は、松竹の小津安二郎のセカンド助監督だった人で、日活では田中絹代の『月は上がりぬ』のチーフ助監督の後、ゾルゲ事件の尾崎秀実を描いた『愛は降る星のごとく』や、横浜を舞台にした混血児の話の『名づけてサクラ』などの抒情的な作風だったが、ここから大転換してアクション映画の監督になる。
ここでのチーフ助監督は、神代辰巳。彼は大のモテ男で、先乗りしてロケ先でいろいろと撮影の手配している内に、その地の女性は、皆彼のものになっていて、後から行ったスタッフは呆れたそうだ。
小林旭の兄が、特攻隊で死んでいるように、1959年のこの時代まで、戦争の記憶は明白だった。
石原裕次郎の兄の石原慎太郎の精神の根底にあるのは、戦争に行き遅れた者の心情のように私は思っているが、やはり戦争に影響を受けた世代と言えるのだろう。
旭の役名は、原田譲次で、「滝さんー」の滝進二ではない。
因みに、ペギー葉山のペギーは、ペギー・リーからであり、ペギー葉山は元はジャズ歌手である。
チャンネルNECO