長い間見ようと思っていて、やっと見た映画が、大したことのない作品だったことはよくある。西河克己のこの映画もそうだった。
西部劇、『OK牧場の決闘』と『荒野の決闘』が下敷。
テキサスからワイアット・アープの子孫和田浩冶が、祖父から預かった3,000万円を、祖父の恩人松山に渡すために来る。
羽田に来ると、すでに悪人の大川商会近藤宏たちがいて、金を横取りしようとする。
和田の相手役はコンビの清水まゆみ、他に東野英二郎や殿山泰二、E・H・エリックなど。
最後は、富士山麓の「大川牧場」での決闘になる。勿論、フランキー・レイン風に平尾昌晃が歌う主題歌が流れる。意外にもアクション・シーンの演出は上手い。
だが、全体として全く面白くない。
笑えるギャグがほとんどない。パトカーが来たと思い近藤らが慌てると、一味の手下野呂圭介が玩具のパトカーで遊んでいたというもののみ。
小林信彦の評価は相当に過大と言うべきだろう。
大川牧場は、何故か孤児らの養護施設も併設していて、そのチャリティー・コンサートで、多数の若手歌手が出る。
守屋浩、井上ひろし、平尾昌晃、田代みどり、森山加代子、そしてマイクを舐めるように不気味に歌うのは、初め分からなかったが、終わってから分かった。
かまやつひろし先生。当時から少々変わっていたのだ。
わずか1時間の作品で、メインの石原裕次郎主演『闘牛に賭ける男』の添物映画だった。
フィルム・センター