眺花亭寄席

墨田区千歳にある渡辺信夫さんの私立図書館の月1回の「眺花亭寄席」に行く。

高田瞽女三人『瞽女さんの唄が聞こえる』、日向の琵琶盲僧『今を生きる琵琶盲僧 永田法順』、現役浪曲師『大利根勝子 波乱万丈!』と、すべて盲目の芸人、法師たちのドキュメンタリー。

区役所で視覚障害の方ともお付き合いしたので、よくわかるが彼らの能力は大したもので、一度歩いたことのある場所は、完璧に記憶していて案内なしで歩けるそうだ。

私も、ある視覚障害の方から、区役所で「前を歩かないでください」と言われたことがある。

新潟の瞽女は、昔から有名で、映画『はなれ瞽女おりん』にもなっているが、この映画で、おりんを助ける原田芳雄の兵役逃れの車力引きの男は、相当に美化された男の姿のように思える。

盲目の琵琶法師と言えば、小泉八雲の「耳なし芳一」が有名で、小林正樹監督の映画『怪談』では中村賀津雄が演じた。

この映画の戸田重昌の美術はものすごく、「日本映画史上最大の美術」と言われたが、そのためににんじんくらぶは結局倒産することになる。

さて、盲目の芸人や法師の語りは大変な迫力で、その特に長年の修行で鍛えられた声は素晴らしい。マイクなど増幅機能がなかった時代の修行のすごさがよくわかる。

こうした瞽女歌、琵琶法師、説教節などは、江戸時代に一緒になって浪曲を作ることになる。昔、三波春夫さんは、東宝宝塚劇場でのリサイタルで、こうした芸能の歴史を自分自身が演じて見せてくれたもので、さすがと思ったものだ。

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