映画はすでに70年だった

昨日、著作権者が権利期間の延長を要望した。このことを前に書いたとき、映画も含めていたが、映画はすでに2004年の法改正で50年から70年に延長されていた。
権利期間を延ばせば、著作者の利益になり、それが創造の活性化を促すなどの根拠はない。

私がここで何度も書いているように、著作物は前の著作物から影響やヒントを得て作られている。
特に大衆文化、芸術はそうだ。手塚治虫の影響を受けていない漫画家がいるだろうか。
ヤクザ映画も、よく考えれば総て『忠臣蔵』であり、笠原和夫さんは自作『総長賭博』は、ギリシャ悲劇を元にしたと書いている。また、東映専務の牧野光雄からは、「曾我廼家劇と黙阿弥を読め」と言われたそうだ。

日本には、昔から短歌の「本歌取り」という技法、作法がある。
歌舞伎も多くは、先行芸能や様々な話を入れ込んで作られている。
それは、「時代と世界」という考えで、先行作品を取り入れることは当然の作劇法になっている。
優れた作品ほど、多くの先行作を取り入れており、全くオリジナルな作品など本来ありえない。
そう考えれば、いたずらに制作者の権利を保護することはおかしいのである。
先行作品への尊敬を示す上でも、作者の権利は無闇に強化されるべきではないと思う。

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