専業作家は300人で十分

本が売れなくなると専業作家がやっていけなくなるのでは、と心配し図書館や新古書店を問題にする人がいる。だが、日本文学史を見ても専業作家が興隆したのは、ほんの一時期である。
おそらく昭和30年代、週刊誌や中間小説雑誌が多数創刊され、そこに風俗小説を皆が書きまくった時代くらいである。

夏目漱石、森鴎外の2大文豪も専業作家ではなかった。二人とも生計は別にきちんとあった。
大岡昇平も、昭和20年代は収入のない純文学作家(彼は父が株成金で裕福だったので生活に不自由しなかった)だったが、30年代になると推理小説等も書き、収入が増大し、銀座のクラブで飲むようになる。

専業作家がいなければ文学が滅びるというのは、全くの杞憂に過ぎない。
専業作家の数は、プロ野球の1軍の選手の数と同程度の300人くらいで十分である。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする