組織で生きる方法

話題の前川喜平前文部次官だが、テレビのインタビューで、自分の生き方を「面従腹背」だと言っていた。

私が、役所に入って参考にしたのが、三島由紀夫の東大法学部の同級生、大映の監督増村保造のやり方だった。

彼は、『黒の報告書』『陸軍中野学校』『兵隊やくざ』などで、会社が儲かるシリーズ化されるヒット映画を作った。そうして、密かに自分の作りたい作品も会社に認めさせていくのである。

それは、松竹の木下恵介も同様で、城戸四郎が非常に気にいる作品を作る一方で、自分がやりたい結構シビアな映画も作らせていた。

『カルメン故郷に帰る』『カルメン純情す』の、日本初のカラー映画の話題作をヒットさせる一方で、『日本の悲劇』『女の園』の非常に厳しいリアリズム映画を作っていた。

篠田正浩は、助監督だったが、『日本の悲劇』を見て

「こんな凄い映画を作られては、もう俺たちに描くことはないな」と驚嘆したそうだ。

95%くらいは、組織の言われたとおりにやるが、残りの5%くらいは自分のやりたいことを組織の力を通じてやってしまう、というのが上手い生き方だと私は思う。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする