『次郎長社長と石松社員』『馬喰一代』

金沢で『ヨコハマメリー』を見た後、北上して阿佐ヶ谷のラピュタで瀬川昌治監督の『次郎長社長と石松社員』『馬喰一代』を見る。2本ともできが良かった。

『次郎長社長と石松社員』は、東宝のサラリーマンものを真似したニュー東映作品。
進藤英太郎の社長と中村賀津夫の社員が、同じ会社なのに互いに知らず、進藤の妾宅で知り合うというシュチュエーション・コメディー。
泥臭いギャグが多いが、進藤と賀津夫は、演技と台詞の間が上手いので、的確に笑える。
妾宅に本妻の清川玉枝が乗り込んできて進藤と鉢合わせたとき、
妾の星美智子が、「この人誰、知らない人よ」という台詞が上手いのはさすがでした。
音楽は、大島渚映画など真面目な作品が多い真鍋理一郎だが、ラテンを使って軽快。
最後、会社の機密を売ろうとしていた一派を取り押さえ、賀津夫も出世する。
水木譲も出ていた。
彼は、なぜか木暮三千代にひどく可愛がられていたが、いつの間にか消えた。
『釣りバカ日誌』の元祖であろう。

『馬喰一代』は、昭和20年代に三船敏郎の主演で映画化されたものの三度目の映画化だそうだ。
主演は三国連太郎。
三国は『無法松の一生』も三船がやった後に主演しているが、三船コンプレックスだったのか。

大正時代の北海道北見での、一本気な馬喰の一生を描くもの。
音楽は斉藤一郎で、成瀬巳喜男作品とは異なり悠大なスケールのオーケストラ曲。

三船の息子(金子吉延)が成績が良いのだが、「馬喰に学問はいらない」と言い、「馬の世話を憶えろ」と仕込むところがある。
今の教育族議員が見たら、あるいは子供が見たら、何と言うだろうか。
そうした無知蒙昧は、知恵者西村晃によって駆逐されるのが時代と言っているのだが。
むしろ、三国の方が、今では人間として正しいと再評価されるのかもしれない。

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