『如何なる星の下に』

戦前に高見順が浅草のお好み焼き屋を舞台に書いた小説の映画化。
と言っても、作られたのは1962年で、舞台も佃島に代えられている。
脚本は八住利雄、監督は『雁』の名匠豊田四郎。

主人公は、おでん屋をやる長女山本富士子。
その恋人でPR誌編集者が、池部良。
軽薄な歌手植木等に捨てられ自殺してしまう次女が池内淳子。
三女で日劇のダンサーで、最後は植木とできてしまい、香港に行くドライ娘が大空真弓。
三姉妹の親は、元太神楽芸人だったが戦争で手が不自由になり廃業した加東大介と酒乱の三益愛子。
当時のテレビ興隆時代を反映し、また同時に佃の渡しや、新川橋付近の工事の情景の貴重な映像もある。

最後に、山本富士子が、「人間は皆可哀想な存在よ!」と大演説をする。
この人は、ただの美人スターのように思われているが、大変芝居の上手い人である。
また、朋輩の踊りの師匠の乙羽信子とのやり取りが、面白い。
乙羽は、何でも出来る本当に上手い女優だと思うが、主役より脇役が良い。

豊田得意のブラック・ユーモアが最後に炸裂する。
中気で倒れた加東を介護する三益に向かい、尿瓶を使った手でお粥を食べさせると、「手洗ってきたのかよ」という台詞や、山本に向かい、「よろしく頼みますよ」と手を合わせようとするが、麻痺でできない、など。
岡崎宏三のコントラストの強い画面もすごい。
また、3回しか出て来ないが、山本の元亭主で詐欺師の森繁久弥がさすが。
こいつにあっては誰も騙されるだろうと思える。その台詞のタイミングが最高。
まさに職人芸の仕事と言うべきだ。
日本映画専門チャンネル

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