先週は、佐藤真と演劇センターを思い出した2日だった。
金曜日の『夢の裂け目』の音楽は、クルト・ワイルで、演劇センターが使ったコーラスを思い出した。林光監修の音楽は非常によく、私はLPを買ったほどだ。
次の土曜日は、日本映画学会の例会が慶応大で行われ、ハーヴァード大のアレキサンダー・サンデル先生が「1970年田以降のオカルト的の動き」を講演された。
中では、角川『復活の日』対セゾン『帝都物語』のオカルト映画対決などもあり、非常に面白いものだった。
だが、背景として「新左翼と儀史」というのがあり、「実際にそんな映画があったのでしょうか」と私は質問し、「映画界ではなかったはずだが、演劇では演劇センターの佐藤真の「喜劇昭和の世界3部作」は、儀史を作る試みだった」と思うという。
サンデル先生はご存じなかったようで、『阿部定の犬』について説明する。これは昭和11年の2・26事件が成功し、秩父宮が天皇になり、昭和天皇は満州国に亡命政権をつくり・・・という非常に面白い発想の劇で、ここでもクルト・ワイルが使われていた。
すると、会場におられた監督の原将人さんが、「私は自分の映画で、初代天皇を捜し、最後は自分が天皇になる映画を作ったのだが・・・」と加えてくれた。『初国知所之天皇』であるが、私は見ていないと言うと、「今度大塚にできたシネマハウス大塚で、期日は決まっていないが上映する」とのことだったので、ぜひ見に行こうと思った。
反体制的な、天皇を云々する劇と言えば、言うまでもなく井上ひさしだが、彼は新左翼ではなく、日本共産党支持の旧左翼であった。