6月前半の新国立劇場はシェークスピアの『夏の夜の夢』
昔は『真夏の夜の夢』と訳されたが、midsummer とは夏至のことで真夏ではなく、日本で真夏というと7,8月と誤解されるので、最近は『夏の夜の夢』とされている。
様々な新演出が行われるシェークスピアだが、私は何もせずに普通にやった方が面白いという説である。
今回のRSCの演出家ジョン・ケアードは、相当に現代的だったが、悪くはなかった。
主演は江守徹の病気降板で代役の村井国夫と麻美れい。
パックはチョウソンハで、初めて見たがとても上手いのに感心した。
その他、役者は多分オーディションで選んだのだろう、若手が多かったが全体にレベルは高かった。中でも、小山萌子が張り切ってヘレナを演じていて、まるでこの日の主役だった。
麻美れいはカッコ良いが、この日は何故か調子が悪く、序盤の見せ場の長台詞も全く粒立たず、なにを言っているのか意味がさっぱり分からなかった。
衣装は、きわめて現代的で、喜劇を演じる町の職人たちも今風の服装。
イローナ・セカッチの音楽も、ときどきロックが入り、またクルト・ワイル風の響きも良いが、全く受けないのは可哀想だった。
こうした洒落た演出も日本人が演じるとすべてダサく見えるのはどうしてか。
大きくは、新国立劇場の観客の問題もある。
サングラスをかけ、ちょい悪おやじ風の衣装で、村井がロックで踊っても、観客のノリが極めて悪く場内は沸かない。ミュージカルの若い客なら大歓声のところだろうが。
ここでは、重厚な古典的演出以外は、受けないのだろうか。
新国立劇場が一番先に養成すべきは、ノリの良い観客だと思う。
エキサイトしない観客相手では、新しい良い芝居は生まれないのだから。
神田沙也加(神田正輝と松田聖子の娘)が出ていたらしいが、どの役かは分からず。
コメント
2007/6/17『夏の夜の
、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー名誉アソシエート・ディレクターでミュージカル『レ・ミゼラブル』の演出でも知られるジョン・ケアードさんが演出。主演は村井国夫さん(元…