山田太一脚本の新作テレビ・ドラマ。
主演は、仲代達矢、杉浦直樹、そして栗原小巻である。
仲代は商社マンだったが、中米の独裁国家に派遣され、そこで反政府派にかかわってしまい、長期に投獄され会社も首になってしまい、その国に永住してしまう。
46年ぶりに母親の墓参りをした後、昔の恋人栗原とその夫で、昔の同僚杉浦直樹と再会する。
この、3人、さらに旅行会社添乗員高野志穂の漫才のようなやり取りでドラマは進み、芝居は良くできている。3人の芝居が、さすがに上手い。
だが、杉浦と栗原の夫婦が、互いに「じいじ」「ばあば」と呼び合っているのは、年を考えれば当然だが、とても残酷である。
だが、彼らが戻る先の共通の記憶である音楽が、「歌声」というのはいただけない。
1960年代を舞台としているから、仕方ないが、私は大嫌いである。
1950年代末から60年代にかけ、日本共産党を中心の「歌声運動」は、日本の文化運動に大きな影響を与えた。
私が大学に入学したときも、民青の連中が花笠を持って民謡を歌い、踊っていた。
どうして、ああいう恥ずかしいことができるのか、不思議でならなかった。
最後、3人は今は懐かしい、またやってるらしい「歌声喫茶」に行く。
そのシーンのいやらしさ。
俗に「三つ子の魂百まで」と言うが、10代で嫌いになった、歌声・民青は今でも大嫌いである。
高野志穂の若さが眩しい。