関西電力の幹部が、元高浜町の助役から、多額の金品を貰っていたのは、本当に驚きで、『水戸黄門』みたいと思うだろう。
だが、これは事実が逆なのである。
時代劇で描かれるような、悪代官と豪商が結託して農民等をいじめるというのは、実は江戸時代には、そうはなかったことなのだ。
徳川幕府は、為政者には厳しい政権で、藩や代官が悪事を行えば、すぐに国替え等をしてしまうものだった。
だからこそ、260年ももったのである。
では、時代劇の悪人とは何か?
あれは、大正末から昭和初期のサイレント映画での、傾向映画という反体制的な映画があった。
戦前は、もちろん、内務省、警察の検閲があり、多くの傾向映画は、カットされて上映された。
そこで、考え出されたのが時代劇で、悪代官は警察、商人は資本家のことであり、こうした比喩で官憲の取り締まりを逃れたのである。
この方法は、実は江戸時代の歌舞伎も同じで、「忠臣蔵」は室町時代になっているし、「四谷怪談」も『忠臣蔵』の外伝になっている。
時代劇みたいというのは、実は物事が逆なのである。