川内康範死す


作詞家の川内康範氏がなくなられた。
彼は、例の森新一の『おふくろさん』騒動で、有名になったように近年では、作詞家として知られていたが、元はシナリオライターで、東宝、新東宝、日活、大映等で全部で55本ある。
テレビで大ヒットした『月光仮面』の映画化のようなメジャーな(?)作品もあるが、ほとんどがメイン作品の添え物娯楽作品で、これというものはない。
だが、注目されるのは、新東宝の『戦場のなでしこ』と日活の『南国土佐を後にして』、さらに大映の『ドドンパ酔虎伝』であろう。

『戦場のなでしこ』は、監督石井輝男の新東宝作品で、一種の際物だが、戦争末期の満州で従軍看護婦がソ連に襲われる話だが、なかなか面白かった。
『南国土佐を後にして』は、言うまでもなく小林旭の「渡り鳥シリーズ」の最初の作品である。
監督は、斉藤武市で、後の「渡り鳥シリーズ」の明るさとは違い、暗くまじめな作品で、勿論、ペギー・葉山の大ヒット曲『南国土佐を後にして』を主題としている。
最後の、『ドドンパ酔虎伝』は、1961年ドドンパが流行していたときに大映京都で作られた時代劇喜劇。
江戸に、ドドンパ教という踊る宗教が流行し、それが実は悪の巣窟だったと言うもので、実にばかばかしい映画だった。監督は、先日なくなられた田中徳三、主演は勝新太郎。
日本生まれのリズムであるドドンパの、日活の『東京ドドンパ娘』と並び数少ない作品で、その意味では映画史に残る。

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