イギリスの大衆演劇

21日にロンドンに着き、翌日夜に見たのが『バディー』だった。
『バディー』は、ロック初期の大スター・バディー・ホリーの伝記ミュージカルで、20年近くロンドンで上演されており、日本でも陣内孝則がやったそうだ。

劇中、『ペギー・スー』初め、多くのヒット曲が歌われるが、観客が大合唱する。ビートルズが一番好きだったのがバディーだったことは知っていたが、これほどにイギリスで彼の人気が高いことを初めて実感した。

バディがやったことで、初めてのことが二つあり、一つはメガネを掛けて人前で唄ったこと、白人でニューヨークのアポロ・シアターに出たことである。
アポロ・シアターのマネージャーは、バディーの唄を聞き、彼は黒人と思い込み、出演依頼してしまう。
白人が現れたので、びっくりし、ステージに出たとき、観客の唖然としたらしいが、演奏を聞いて大歓声になる。

彼は、ツアー中の飛行機事故で若くして死んでしまうが、このときの他のメンバーが黒人歌手のビック・ボッパーと『ラ・バンバ』で有名なスペイン系のリッチー・バレンスだったことは、バディー・ホリーの音楽性を示すものである。
彼が生まれたテキサスでは、白人音楽、黒人音楽、さらにスペイン系のものが自然に融合していた。

役者は、アレサ・フランクリンに至るまで、本物そっくりで、唄も演奏も上手いのには改めて感心した。
悪く言えば、極めて通俗的であり、日本で言えば大衆演劇だろう。観客はイギリスのお上りさんが多いようで、年齢もかなり高く70代くらいか。

終演後、劇場からコベント・ガーデンを抜け地下鉄駅に行くが、芝居の観客で大いに賑わっている。
日本の演劇で一番欠けているのが、「こうした町に支えられて存在することだな」と改めて思った。

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コメント

  1. ブラボー より:

    バディー
    けっこう前ですが
    私も
    ロンドンで「バディー」を観ました。

    やはりすごい人気なのが驚きでした。
    お客は中高年の人が大半でしたが
    芝居をものすごく楽しんでましたね。

    中盤になると周りがみな立ち上がって
    大合唱、大ノリでした。