「金日成将軍マンセー!」

横浜のシネマ・ジャックで北朝鮮映画祭が行われている。
『春香伝』と『農民英雄』を見た。

『春香伝』は、朝鮮の有名な民間伝承で、身分違いの恋の悲劇だが、最後はハッピー・エンドになる。
春香は、キーセンの娘、両班で郡守の息子・若様と恋仲になるが、身分違いとして引き裂かれる。
村には、悪党の郡守が赴任してきて、春香は目を付けられるが、拒否すると投獄されてしまう。
郡守は、東映にいた山本燐一そっくりの悪党。
因みに、春香は、あべ静江や水野久美のような美女。若様は、穂積隆信を良くしたような感じ。
最後、若様は乞食姿で村に来る。
唖然とする春香の母親など。
だが、実は暗行恩士の隠密で、悪党の連中はすべて逮捕されてしまう。
この事大主義は、まるで水戸黄門である。

『農民英雄』は、戦後小作人から人民代表大会代表委員にまでなった農民の苦闘を描くもの。
1975年制作で、食糧増産運動中だったのか、傑作なエピソードが続々。
「将軍様は、粟入り飯を食っていた」とか、地方の苦難を知っていてトラクターを贈ってくれるなど。
まだ政治体制が不安定だったのか、地主や反動派がいて、様々な動きが交錯する。
最後、戦略的後退戦(朝鮮戦争中の北への退却をこういうらしい)の中で、米倉庫を焦土作戦する中で死んでしまう。
そのとき、言う言葉、
「金日成将軍マンセー!」
時代の性か、他に救いを求めようと、主人公の農民が言う。
「国はまだ苦しいのだ。自分たちで頑張ろう」と自主性がやたらに強調されている。
主人公の農民は、山村聡と室田日出男を合わせたような顔つき、奥さんは三戸部スエさんにそっくり。その娘は、卓球の福原愛ちゃんと言うか、薬師丸ひろ子というか、アジア的な顔。

久しぶりにプロパガンダ映画の面白さを十分に堪能した。

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