『陸軍中野学校』シリーズの最終作品、脚本長谷川公之、監督は井上昭。
昭和16年秋、日米開戦が迫る頃、陸軍の諜報部員市川雷蔵の椎名次郎は、香港での米英の諜報機関会議の情報を取る。
と、御前会議など、日本の最重要の情報が漏洩していることが分かる。
漏洩元は、学者大原博士の家らしい。
病気療養中の大原博士の家には、セント・ジョセフ病院から看護婦が来ていて、そこから情報が漏れていたのだ。他に画家の船越英二らが、その一味。香港で知り合った美女小山明子もスパイ。彼女は、日本人ではなく、「私も祖国がある」中国人か朝鮮人だろうか、と言う。
最後、椎名らは、病院地下のスパイの巣を急襲し、彼らを殲滅し、小山明子も自ら爆死する。
このシリーズは、相手女優が、最初の小川真由美から、実はスパイだったと言う設定である。
だが、一つだけおかしいと思ったのは、看護婦が小型テープで博士の部屋での会話を録音するところである。
これは絶対にあり得ない。
なぜなら、テープ・レコーダーは、戦時中にナチス・ドイツが発明したもので、ドイツ降伏後アメリカが、その機械を持ち帰り、商品化したものだからだ。
日本に来たのは戦後もかなり経ってからだからである
戦時中の日本に、たとえアメリカ側のスパイだったとしても、テープレコーダーを持っていることはありえないのだ。
池野成の音楽が素晴らしい。
コメント
テープレコーダ
wikiを見ると、AEGから35年に市販されており、米英のスパイ組織なら当然に購入して改良もできるでしょうから、「これは絶対にあり得ない」とまでは言えないと思います。
結構難しい
貴重なコメント有難うございます。
確かにドイツでは実用化されていたようです。
だが、連合国軍側では、どうだったのでしょうか。小山明子、ピーター・ウィリアムス、船越英二らのスパイは、米・英側なので。勿論、スパイなので最新技術を使ったとも考えられますが。
ただ、戦時中のアメリカは、日本の謀略放送である、例の東京ローズで有名な『ゼロ・アワー』をシアトルで全部録音していて、このレコードもあります。でも、これも全部アセテート版への録音によるものでした。
テープではなかったので、連合国側では、まだ実用化されていなかったのではないか。