「小林旭のアキラ節のルーツは、進駐軍ソングである」と思い当たったのは、今年3月病院に入院していたときであった。
入院中、ヒマなので以前に買ったCD『オキュパイド・ジャパン』を聞いていた。これは、米占領下の昭和20年代、米軍にいたメンバーによって制作されたもの。演奏メンバーには当時最高のジャズメンだった多忠修(おおのただお)ら日本人もいた。外国曲もあるが、「ハニー・バケット・スイング」等のオリジナル、「お江戸日本橋」「炭鉱節」等の民謡もあり、これがとても不思議な雰囲気の音楽なのだ。西洋でもなく日本でもない。あえて言えば植民地的。
多や大森盛太郎らは、後に東宝や日活で映画の音楽を担当する。『嵐を呼ぶ男』の音楽は大森盛太郎。彼の曲で最も有名なのは「三味と踊りは習いもするが、習わなくても女は泣ける」という『下町育ち』だろう。
アキラの妙に甲高い声とラテン調の歯切れのいいバック。究極のミス・マッチの不思議な感じは、おそらく昭和20年代の「植民地的いかがわしさ」そのもののように思える。
美空ひばりのいかがわしさも似ている。
コメント
勘違いでした
「下町育ち」は、大森ではなく、叶玄大さんでした。
テレビ番組の音楽は、大森盛太郎だったと思いますが。
フジテレビの昼ドラ(池内淳子のよろめきドラマ『日々の背信』から始まる1時からのもの)の音楽はずっと大森さんが担当していたと思いますが。