監督のロバート・アッカーマンは、昔『エンジェルス・イン・アメリカ 第一部』が素晴らしかったアメリカの演出家で、映画も監督しているらしい。
どんな作品なのか、録画しておいた。
アメリカから恋人を追いかけてきた娘が失恋し、渋谷の片隅の西田敏行の店でラーメンを食べ、その美味しさに感激して修業する間に起こる「文化摩擦」のドラマである。
アメリカ人にラーメンの作り方を教えるという日米関係の逆転がこそばゆい。
この手の文化摩擦、国際交流映画には、ソフィア・コッポラの『ロスト・イン・トランスレーション』もあり、広く見れば「ラシャメン映画」に属するだろう。
戦前の『白蘭の歌』『支那の夜』『熱砂の誓い』の長谷川一夫・李香蘭の大陸三部作から戦後のアメリカの『サヨナラ』『8月15夜の茶屋』から、日本の『唐人お吉』『忘れえぬ慕情』『ソウル・ミュージックラバース・オンリー』に至るまで、ラシャメン映画は、勝者の男に、敗者、被支配者の女が惚れる図式になっている。
男女関係が、支配・被支配の関係に置き換えられているわけある。
この映画では、西田が惚れられるわけではないが、先生としてアメリカ人女をラーメン教育する構造である。
それは、バブル期の日本とアメリカの経済的関係を反映しているのだろうか。
細部を見れば問題はいくらでもあるが、一番の問題は西田敏行が英語が全く分からない中年親父には見えないことである。
もし渥美清が演じたなら、英語が全く理解できないラーメン屋の親父を信じさせてくれただろうが、西田がやると片言ぐらいは英語が話せるだろうと見えてしまう。
この辺が、渥美清と西田敏行の役者としての大きな差であることを再確認した。
あえて言うなら、この役はガッツ石松が適役だと思った。
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