東郷晴子、死去

新聞に女優東郷晴子が亡くなられたことが出ていた。90歳。
彼女は宝塚から女優になり、主に東宝の脇役で活躍しtが、テレビにもよく出ていた。
私が彼女を初めて知ったのは、TBSの大ヒット番組『女の斜塔』での悪役だったと思う。
これは、午後1時から放映されていた国際放映のドラマで、岩崎信忠と二階堂有希子との恋を、原良江、石山政春らが妨害しいじめるメロドラマで、その悪の元締めが東郷晴子だった。

彼女は、きちんとした演技ができたので、黒澤明の映画にも出ている。
1955年の『生きものの記録』だが、晩年の作品『夢』にも出ているはずだが、最後の葬式の葬列の中の一員なので、どこにいるのか分からない。
『夢』は、第4話の「トンネル」の主人公寺尾聡の悔恨がひどく記憶に残る後味の良くない作品だが、最後の葬列の能天気な、痴呆的とも言える明るさは、晩年の黒澤明の心情、一種達観した心境だったのではないかと思う。
その意味では、黒澤明の晩年は幸福なものだったと言えるだろう。
遺作が『まあだだよ』という愚作だったのは、悲しいことだが。

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