人生絵巻的監督

豊田四郎の『花のれん』を見て、改めて豊田の作風は、主人公の人生の変転を見つめる「人生絵巻的」映画の作家であると思った。
実際、豊田は、井原西鶴が好きで、ロケ先の旅館等では、女中らに身の上話を聞いていたそうだ。
まるで、永井荷風ではないか。
荷風は、多くの水商売の女性と交渉があったが、多く彼女たちの経験は、作品のネタにされているようだ。
その意味では、小説のための取材であったわけだ。

豊田のような作風の監督と言えば、川島雄三、渋谷実らがいる。
勿論、溝口健二も晩年は、そうした「人生絵巻的」作風になる。

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