民主党はおじいさん政党になっていた

今回の衆議院選挙について、初めて興味深い正確な分析が出た。

ビデオニュースの「マル激トークオンデマンド」での小林良彰慶応大学教授の調査結果である。

それによれば、前回2009年に民主党に投票した人の内、今回も民主党に入れた人は、わずか30%で、10%が自民、20%が維新の会に投票したが、なんと40%は、棄権したというのだ。

今回の低投票率の原因は、そこにあったのである。

そして、今回の選挙で極めて顕著なことは、年代別に投票先が別れたことだそうだ。

民主党は、20代から60代まででの得票は、わずか10%で、70代以上で20%であり、民主党はある意味で、完全におじいさん、おばあさん政党になっているとのこと。

因みに、自民党は、20代と60代に強く、維新は20代と30代、みんなの党は30代と40代に支持があり、未来の党は50、60代だったそうだ。

これだけ年代によって支持政党が別れたのは、小林教授はネットや携帯電話によるものではないかとしている。

今や若者の中で、新聞、テレビすら見ない層は増加していて、良くも悪くも、そうした世代は、ネットや携帯での情報が、投票行動に影響しているというのだ。

確かに、この世代的な行動の差は、実感があるし、また民主党、未来の党は、世代的には基幹産業の大企業組織で働き、組合にも組織されていた世代である。

彼らが、民主や未来の党に入れるのは当然とも言える。

また、みんなの党の支持者に40代が多いのは、退職者の方が、自分たち現役世代よりも恵まれているので、そうした年金制度等の改革が重要と思っていることを反映しているのだと思われる。

そして、維新の会は、大阪が圧倒的に強く、四国も強いが、東京は大して強くなく、北関東、南関東は、渡辺喜美、江田憲治、浅尾慶一郎という有力議員がいるので、みんなの党が強いとのことだった。

そして、小林教授は、小選挙区制は日本にはあっていないことが今回の6回目の選挙ではっきりしたと言っている。

アメリカやイギリスのように、もともと民主・共和、労働・保守の二大政党しかないところでは小選挙区制は有効である。

さらに、アメリカでは、地域が貧富の差によって住む場所が完全に分かれているので、小選挙区にすれば、その地域の多数の民意が反映できる。

だが、日本では地域に貧富の差はさしてなく、混合して居住しているので、そこでの多数を決めることは非常に難しく、今回のように投票数と得票数が大きく違うケースができてしまう。

それは、前回2009年の民主党が大勝したときの選挙でもそうだったのだが、今回は投票率が低かったために一層強く出てしまったのである。

そして、先生は少々難しいが、現在の選挙制度を少しいじる方法を提案されている。

それは、都道府県ごとの選挙区とし、政党は名簿を出す。

非拘束式にして個人が無所属でも出られるようにする。

そして、全国の各政党と個人の得票数で全体の当選者数を決める。

それは、全国の投票数毎に各都道府県の定数を決め(都道府県の投票総数÷全国の投票総数)、そこに当選者を得票数順に当てはめていく。

この制度が面白いのは、その都道府県の投票率が高いと、そこの選挙区の当選員が多くなることで、その結果自動的に棄権を防ぐようになることである。

定数是正の問題は起きないことで、極めて大胆な案だが、検討に値すると思う。

海外にそうした制度があるのかと、神保が聞くと海外にもない方法だそうだ。

私は、都道府県を選挙区にした単純比例制、つまり小選挙区をやめてしまう、というのが一番合理的で、民意を反映する選挙制度だと思う。

衆議院は、民意の直接的な反映なのだから、単純比例が一番合理的のように思える。

以前、共産党は全国1区の単純比例制度を提案してたが、それでは地域毎の差異性がなくなるので問題だと思う。

現在の地域性の最大の単位である都道府県を1選挙区とした単純比例が一番に民意を反映する選挙制度だと私は思う。

だが、自民党は、今回は大勝したので、当分は選挙制度の見直しをするはずもないだろうが。

やれば大したものだが。

今回の選挙でひどいと思ったのは、所謂「落下傘候補」の問題である。

小選挙区制度で、政党の本部の力で、地域と無関係な候補が突然来て、ある政党の候補者になっている。

そして、自民党以外では、多くの落下傘候補は落選したようだ。

従来なら、「地盤、看板、カバン」というように何らかの形で、候補者は地域と深い関わりがあり、そのことで候補者を有権者がある程度は、知ることができた。

だが、突然くる落下傘候補では、有権者には、候補者を知る機会はますます減り、結局は、「候補者を選定した党を信じろ」ということになってしまう。

これではいよいよ、有権者は選挙に興味を失うばかりではないかと思う。

小林先生のご提言を聞き、私も考えた選挙の案があるが、それは次に書く事にする。

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