先週、用があって南太田のTSUTAYAに行くと、フロアの構成が変わっていて、2階の中にレンタル・コミックのコーナーが大きく取られ、2階にあったカウンターが1階に下ろされていた。
レンタルコミックは、コミックを借りて読むものだが、これは実は、2003年に私が雑誌『出版ニュース』で、「著作権法を整備してレンタル・ブックを」を書いたのがきっかけだった。
「あれ、貸本屋は昔からあるのに」と思われるだろう。
映画ファンなら、川島雄三の映画『幕末太陽伝』で、先日亡くなられた小沢昭一が、本を担いできて、女郎たちに貸していたのを憶えていられるだろう。
その通りで、江戸時代から、日本では本や雑誌は、貸本として購読されていたのである。
そして、貸本業の全盛時代は、戦後の昭和20年代で、漫画や雑誌が貸本として流通していた。
それも、岡本喜八の映画『江分利満氏の優雅な生活』の中で、子供が貸本屋で漫画を借りるシーンとして出てくる。
一方、1980年代にレンタルレコード問題があり、業界から法的規制の要望が出て、1984年に議員立法で規制臨時措置法ができた。
その後、著作権法に取り入れられ、新たに「貸与権」が作られた。
ただ、その時に、本と雑誌については、歴史的経緯があるので、当分の間、適用を除外することになった。
そのため、2000年代に入り、新規に貸本業を開始しようとした場合、その扱いが微妙になり、新規開店はなくなり、貸本店は300件ぐらいまでに減少した。
全盛時代は、全国で5,000店くらいあり、今のコンビニ並みにあったのだが。
また、2003年当時「本が売れないのは、図書館、新古書店、漫画喫茶の性だ」としてそれらを排撃する論調が声高に叫ばれ、その中心メンバーの一人に猪瀬直樹もいた。
そこで、私は書いた。
図書館、新古書店、漫画喫茶の利用が増加しているのは、本を借りて読みたいとの需要があるからで、それに対応するためには、有料のレンタルを増加させれば良い。
そうなれば、そこに需要が向かうので、自然と利用の住み分けが生まれ、著作権者に報酬も入るのではないか、と。
2年後に、漫画家等からの要望で、著作権法が改正され、本と雑誌の適用除外が外されたのである。
そして、ゲオを先頭にレンタルコミックが開始された。
これは、本や雑誌の利用の棲み分けであり、大変良いことだと思う。
因みに、従来から営業してきた小規模の貸本屋については、附則で適用除外は継続されているので問題はない。