2014年の夏に出されたもので、言うまでもなく前年の民主党の政権喪失と安倍政権の成立への危機感から来ている。
この時に、集団的自衛権の閣議決定の日に、と書かれているが、その危機感は今や現実のものになって来た。
もちろん、二人の立場は、民主党支持なので、異論のある方も多いに違いない。
だが、この本には、非常に興味深いことが書かれている。1930年代の、日本の5・15事件以降の軍部の政治への参画は、彼らが反体制的エリートになったことが原因だという。
1925年の普通選挙法の制定により、明治以降政権を握っていた軍人、山県有朋、桂太郎、田中義一らが後退し、一応政党内閣になったことで、軍人は政治体制の中心ではなくなってしまったとのこと。
そこへ、軍部による直接的な政治参加が始まったとのことで、こうした反体制的エリート性は、安倍晋三と彼を支える自民党若手も同様だというのだ。
これは非常に正しいと思う。今の自民党は、かつての国民政党ではなく、若手の変な議員の発言に見られるように「ネット右翼的」な偏狭な政治集団に変質していると思う。
議員の候補を公募で行うことに、その元凶があると思う。要は、こうした制度では、常に声の大きい威勢のっ良い者が勝ってしまうからである。
私の地方政治での見聞から見ても、かつての穏健な保守としての自民党は、もうどこにもないように思える。
誠に残念なことと言うしかない。