横浜から湘南新宿ラインで急いで阿佐ヶ谷に行くとやっと座席が取れる。
満席は、渥美清主演の東映、沢島忠監督の『おかしな奴』
三遊亭歌笑の伝記映画だが、脚本鈴木尚之、監督沢島なので非常に面白い。
東京の三多摩に生まれ、徴兵検査で丙種になった彼は、好きな落語家になろうと上京し、柳家金語楼や春風亭柳橋に入門を乞うが断られ、三遊亭金馬の弟子になる。金馬が、石山健二郎で、厳しいが実は人情味のあった師匠を上手く演じている。
兄弟子が佐藤慶で、彼は赤紙がきて、首を吊って自殺してしまう。また、兄弟弟子が柳朝で、彼は芝居が上手い。
歌笑は、新作落語で売り出し、特に戦後は圧倒的に大衆に支持され、劇場も満員にするが、内部では「邪道」として批判する師匠もいる。
十朱久雄が演じたが、誰のことだろうか、感じでは林家三平を認めなかった三遊亭円生のように思えるが。
金馬の家の女中で、歌笑を振るのは三田佳子、戦後彼女はパンパンになっていて、『星の流れに』の流れる町で再会する。
彼が結婚するのは、席亭明石潮の娘の南田洋子で、この辺の脇の配役も非常に良いのは、さすが沢島である。
最後、歌笑は大宅壮一との対談の帰りに米軍のジープに引かれて死んでしまう。
彼のほとんど弱視と斜視の性だったという。写真で見ると彼の顔は、かなり引きつった異様な感じで、渥美清では、いい男過ぎるように見える。
三遊亭歌笑のSPは、5枚しかないそうだが、非常にテンポがよく、話の運びも上手い。昭和の落語の名人の一人であるのは間違いない。
阿佐ヶ谷ラピュタ
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