なんでも見ることにしているが、苦手が二つあり、シャンソンと能である。
下賤な生まれなので、おシャンソンと能楽には縁がないのである。
さて、誘われたので鎌倉能舞台に行く。冒頭、中森勘太氏の解説がある。この形式は、父の故中森昌三氏が始めたもので、当初は批難ごうごうだったそうだ。中森氏は、レーザー光線能など常に新しい試みをされた方で、能の世界では異端だったようだ。
能は、本来は武士の式楽で、下賤のわれわれ庶民は江戸時代は見られなかったものなのである。
さて、狂言の次の能は『菊慈童』で、これは蜀の文帝の時代のことで、ある山の水が不老長寿だとの噂があり、帝の命を受けた家臣が山に行く。
そこには菊慈童という美少年がいる。聞くと周の時代に帝王の怒りをかって流されて来たとのこと。
何んと700年前で、700年も美少年のままということになる。
これでは、不老長寿への願いというよりは、死ねない少年ピーターパンの悲しみのように見えて来た。
能を見るのは、実は3回目だが、初めて最後まで寝ないで見ることができた。
日曜日の鎌倉は大変な人出だった。