主演は渡哲也だが、実際は郷英冶とその手下の藤竜也、沖雅也、岡崎二郎、藤健次(スリーファンキーズの高倉一志)のチンピラが中心で、渡は末期の日活の唯一のスターだったため、日程が1週間しかとれなかったためほんの少しの出番。
それが一番カッコいいのは困ったもの。
強大な関東連合(稲川組か)の青木義朗らが、川崎市に進出し、地元の郷田組を配下に置く。
川崎が珍しい。ヤクザ映画では、深作欣二の『解散式』と『人切り与太』、さらに戦前の「川崎騒擾事件」を題材にした『暁の挑戦』くらいだろう。
郷田組長・高城淳一が優柔不断な男で、こいつ弱さのために部下と組は全滅して行く。
駄目な組長のために滅亡するというのは、山下耕作の名作『総長賭博』と同じだが、日活には東映のような美学がないので、滅亡の美しさはない。
渡が、当り役・人斬り五郎シリーズの「五郎」そのままのキャラクターになってしまうのがおかしい。
役者の「役柄」と言うものは、そう簡単には出来ないものなのだ。
モップスの演奏があり、すずきひろみつが見えるのは貴重な映像。
このゴーゴー・バーのシーンは大映のように泥臭く、日活にしては上手くない。
フィルム・センター