戸塚区4校演劇祭

戸塚区ふれあい交流文化祭で「区内4高校演劇部演劇祭」を戸塚公会堂で見た。

県立上矢部、県立舞岡、市立戸塚、県立桜陽の4校。
市立戸塚の大塚宏校長の発案だそうで、彼とは古い友人なのだ。

中でも、県立桜陽高校(汲沢校と豊田校との統合校)の『「好き」とかじゃないけど「嫌い」じゃないよ』が、体と頭を使っていて大変気持ち良く最高だった。
少なくとも、先月に新国立劇場で見た『アジアの女』よりは上。

話は、引きこもり青年らが、高校での犠牲者を救う「西遊記」の旅に出るというもの。
松尾スズキあたりを模しているのだろう、「西遊記」の劇画的変形、関西漫才的お遊び、家庭悲劇等が交錯する。
かなり長いものを1時間以内の枠に入れたためで話がよく分からず、感動できるところまで行かないが、趣旨は十分に分かった。
何しろ、男女20人以上が舞台、ときには観客席まで元気に騒ぎ回るのが良い。
メインの作者の他、何人かによる合作だと思うが、ともかく明確に作者がいて言いたいことがあった。
「西遊記」のナレーションの読み方に間違いがあったようだ。
ともかくあれだけのものを作るのは、大変な作業だったと思う。
是非、全部をきちんと見てみたい。

他の3本は、どれも高校生活を題材とした「等身大」芝居だった。
等身大芝居はやり易いように見えて、実は大変難しく、力量のある役者、演出家でないと本当は出来ないものである。
しかも、そこには「役作り」の契機がないので、芝居の勉強には全くならない。
初心者は、まずはシェークスピア(『夏の夜の夢』など)をやれば良いというのが私の考えである。
美術や文学でも、原始美術に見られるように、古代・中世の表現はむしろ反リアリズムであり、それが近代になって写実主義が生まれ、現代になり日常的なリアリズム表現になったのと同じである。

なかでも、上矢部高校の『セルフ・ポートレート』は、一番つまらなかった。
戯曲は20年くらい前の不条理劇で、それを流行の平田オリザ風の「静かな演劇」でやる。松田聖子や薬師丸ひろ子、天童よしみ等のギャグが出てくるが、誰も笑わない。
一体、どこが面白くてこんなつらない芝居をするのか、一度お聞きしたくなった。

市立戸塚『ときめきよろめきフォトグラフ』には、「なんとかに鶴」のごとき上手い子がいたので、聞くと児童劇団に所属しているとのこと。
何事も訓練と修行は必要であり、その成果は一目で分かるものだ。

演技の初心者に一番重要なのは、
1 ともかく大きく声を出すこと
2 役を信じること
と大学の劇団で教えられたが、それはここでも有効だった。

4校演劇部の皆さん素晴らしい公演でした。成果はいろいろあるでしょうが、きっと皆さんの人生にとって大きな財産になるでしょう。
区役所をはじめスタッフの方々、ご苦労様でした。
人は、理屈では動きませんが、感動では動くことがあります。
是非、来年も続けて下さい。

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コメント

  1. Unknown より:

    不条理劇
    上矢部高校に関するコメント。当事者にも失礼だし、自分の経験の中でしか考えていない自己満足のコメント。許せません。高校生相手に20年前の不条理劇とか言うセンスは何なのか聞きたいものですね。