1968年、フォーク・クルセーダーズのヒット曲を大島渚が監督した作品。
封切り時に新宿松竹で前田陽一監督の『進めジャガーズ・大進劇』との2本立てで見ている。
このときも、全く分からなかったが、今回見てもほとんど理解できない。
これは、加藤和彦、北山修、端田宣彦のフォークルの連中が、大島に映画化して貰いたいと持ち込まれた企画で、軽い気持ちで制作されたらしく、全体が漫画的だが、相当に分かりにくい。
一番の問題は、映画が途中まで進行すると、もう一度最初に戻るところで、この辺で大体付いて行けなくなる。
そこで2回『帰ってきたヨッパライ』が流され、また韓国関係で発売中止になった『イムジン川』も2回歌われる。
大学の卒業旅行に九州に来た3人が海岸で泳ぐと、服が盗まれてしまう。
盗んだのは、ベトナム戦争行きを忌避して日本に密航してきた韓国人(佐藤慶ら)で、彼や同じく韓国人の渡辺文雄、その愛人緑魔子らとのドタバタ喜劇になる。
当時のアングラ劇風に、殿山泰治、足立正生らが複数の役をやるのが笑える。
そこに韓国と日本、ベトナム戦争等の問題が入ってくる。
新宿で日本人や韓国人にインタビューしているが、映画『絞首刑』で主人公Rになった韓国人の青年らが出ている。
この同じものを2回繰り返すというのは、皆戸惑ったもので、大島の友人だった川喜多和子も、「フィルムの掛け違いでは」と映写室に駆け込んだそう。
このため、松竹の怒りをかい、『悦楽』から続いてきた創造社制作・松竹配給という形態が解消される。
密航してきた韓国人は、本当は韓国人ではなく、本当は拉致問題を引き起こした北朝鮮ではないか、と思うと意味深長だが。
フィルム・センター