昭和34年の大映作品、こんなものもツタヤにあった。
脚本白坂依志夫、監督増村保造。
この白坂・増村コンビは『青空娘』では、源氏鶏太の通俗小説を借り、若尾文子に代表される戦後世代の姿を強烈に描いたが、ここでは余り上手く行っていない。
ファーストシーンは、北原義郎と近藤美恵子の結婚式での潮万太郎の挨拶。
新郎・新婦の彼らは、商事会社社長船越英二の弟で、その妻丹阿弥谷津子の妹である。
二人には、それぞれ川口浩と若尾文子という弟、妹がいて、この二人を結婚させようとする丹阿弥の策謀とそれに反発しながら惹かれあう川口と若尾の話である。
勿論、最後二人は結ばれ、開幕と同じ潮の挨拶になる。
増村作品は、そのストーリーの強引さが快感なのだが、ここでは人物の台詞は面白いが、主人公たちの行動に痛快さがない。
最高殊勲夫人とは、この頃プロ野球で最高殊勲選手の選出が話題になっていたところから来たものだと思う。
当時は、まだ長嶋・王の全盛時代ではなく、セ・パ両リーグでは多くの選手が毎年毎にMVPを争っていたので、誰が最高殊勲選手になるかが、話題になったのだ。