映画字幕の第一人者だった清水俊二氏の『映画字幕50年』を読んだ。
清水氏と言えば、英語版字幕の第一人者だった。
大学卒業後、数社を経てパラマウント日本支社に入り、映画『モロッコ』の後、米パラマウントが全作品をトーキーにするとき、字幕製作者として選ばれニューヨークに派遣され、日本語字幕を作る。
当時は、字幕は日本では作れず、アメリカで打ち込んでいた。
その後、日本で長瀬商会の極東映画現像所ができ、それから日本で字幕を作るようになる。
戦時中は、洋画輸入がなくなり、六興出版で本を作る。
戦後は、洋画輸入が再開されると字幕の他、翻訳、エッセー等に活躍する。
有名なのは、チャンドラーの翻訳で、今度村上春樹が新訳をだした『長いお別れ』も清水訳だった。
清水氏は、自己の経歴を自分で積極的選択したことはなく、いつも向こうから話が来た、と書いている。
言ってみれば、映画がまだ青春時代だった時代の、映画青年の幸福な遍歴、と言うべきだろう。
高瀬鎮雄、秘田四志郎ら、昔の字幕制作者の名をはじめ様々な映画人が出てきて、大変面白かった。
作家の向田邦子も周辺にいたらしい。
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