本業が一番良かった

シネマ・ヴェーラの神代特集。
『アフリカの光』と『美加まどか・指で濡らす女』は両方とも見ていなかったので、見に行く。

期待の『アフリカの光』は、北海道の猟師町に萩原健一と田中邦衛が来て、
「アフリカに行くためにマグロ漁船に乗りたい」と言って、町を彷徨う話で、面白くもなんともない話だった。
丸山健二の原作がどうなっているのか知らないが、シナリオの中島丈博の性で、萩原と田中がじゃれ合うのが気分が悪かった、まるでホモ。
中島にとってはうれしいのかも知れないが、我々にはただ不快なだけだ。
町医者で藤原鎌足が出ていたが、なぜか台詞は浜村純に変えられていた。ダビングの時に藤原がいなかっただろうのか。当時はまだ生きていたので。
井上尭之の音楽が素晴らしい。

期待せずに見た『美加まどか』は、冒頭のシーンのみが最高だった。
アイドル・ストリッパーの彼女の、実際の舞台稽古のシーンだった。
彼女は、踊りながら自分で照明に、ライトの向きやサイズ、明かりの色を着けるゼラチンの番号、動かし方等を的確に指示する。
それは、まさに「躍動的な」シーンだった。
なぜなら、それは彼女の本当の芝居だったからだ。

だが、彼女の愛人の友人で、追っかけでもある内藤剛詞が来て、赤ん坊の世話をしつつ、様々に彼女の私生活に絡む段になると、美加まどかが芝居の素人であることが暴露されてしまう。
神代は、様々なテクニックで演技の拙さを補うが、結局は冒頭の場面の秀逸さを超えることはできない。
あえて言えば、丹古母鬼馬児と庄司三郎が「ヒモ道と追っかけ道」を説く場面が、一番笑えるが。
最後、俊一郎なる彼女の恋人がテレビドラマの主役になったので、美加が邪魔になり、内藤と一緒になるという平凡な結末になる。

隣家の老婆で、三戸部すえさんが出るが、さすがに台詞のタイミングが上手くて、笑える。さすが。演技の素養は馬鹿に出来ない。

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