『ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う』

久しぶりに芸術エロという言葉を思い出した。芸術エロ、あるいは芸術グロとでも言うべきだろうか。
石井隆脚本・監督で、大竹しのぶとの共演で男女の実相を描くシリーズ。
今回は、母娘、さらに父親との葛藤を主題としている。

ある町で、いかがわしい風俗店を営業している大竹しのぶと娘井上晴美の願いは、誰か適当な男に保険金を掛け、死んで保険金を受け取り、ビルを立てること。
だが、末娘の佐藤寛子は、何ごとものろく、一家の足手まといになっている。
佐藤は、その父親である宍戸錠に暴力的に無理やり犯されていた、という異常な関係にある。

井上が、つきまとう男を刺し殺してしまったので、3人は男の体を切り刻み、富士山の樹海に捨ててしまう。
だが、同時に佐藤のドジで、ロレックスの腕時計を一緒に捨ててしまった。
困った佐藤は、なんでも代行屋の紅次郎の竹中直人に、探索を依頼し、偶然竹中は、ロレックスを発見する。
これに疑問を持った竹中は、腕時計を知り合いの女刑事を通して、警察に持ち込むと人肉片と富士山ろくの土が鑑定される。

最後、3人の女は宍戸殺しを計画し、樹海の中の石切場跡で成功するが、全員死んでしまう。
そして、佐藤の意外な側面が明かされる。

元の代行屋に戻った竹中のところに、女刑事が食事を持って通ってくる。
この女優は、昔「ニュース・ステーション」に出ていた真中瞳らしい。
彼女については、以前ベニサンピットで、つまらい芝居に出ていたのを見たことがある。
これも良いとは思えない。
多分、「ニュース・ステーション」のような明るく楽しい番組に出るのは、自分の本心ではないと思っているのだろうが、自分のやりたいものとできるものとは異なっているものである。
タイガースの沢田研二も、本当はザ・ローリング・ストーンズのようなハード・ロックが好きだったが、そんなことはおくびにも出さず、アイドルを演じていた。
本当のスターというのは、そうしたことをよくわかっているものである。

全体として、凝った映像の作り方で、筋もまあまあで、宍戸錠を映画の中で見られるのもうれしい。
だが、タイトルも奇妙な斜字体でひどく読みにくいが、こういう気取りは無用だと思う。
芸術エロとしては、必要なのかもしれないが。
衛星劇場

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