誰が幸福になるのか

先日の映画『夜の流れ』では、料亭の女将山田五十鈴は、結局愛人の三橋達也を追って神戸に行き、娘の司葉子は、三橋との恋に破れ、嫌っていた芸者として座敷に出る。
司の友人の白川由美は、司が見合いして振った相手の平凡なサラリーマンの中丸忠雄と結婚する。
芸者では、前夫の北村和夫と別れ、呉服屋の宝田明と一緒になった草笛光子は、北村に無理心中させられる。また、フラッパー芸者の水谷良重(現八重子)は、イカレ学生と遊んだ末にレイプされるが、彼らが無事就職した祝いの席で一泡吹かせる。
いずれにせよ、そう簡単に女性の幸福は得られないぞ、という成瀬巳喜男と川島雄三のメッセージだが、一体誰が女の幸福を獲得しただろうか。
大いに興味のあるところだ。
また、よく考えれば、結局芸者になる司葉子は、映画『流れる』で一度芸者に出たが、愛嬌がなくて失敗したという高峰秀子が演じた、置屋の家付き娘の時代を経ての姿とも言える。
昭和20年代と30年代では、芸者と花柳界の社会的地位が相対的に上昇したと言うことだろうか。

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