『砂糖菓子が壊れるとき』

マリリン・モンローをモデルにしたと思われる曽野綾子の原作を今井正が監督した作品。
曽野綾子と今井正では、左右の両極端だが、なんでもつなげてしまうのが、さすが大映の永田雅一である。

話は、施設で育った貧しい娘の若尾文子が、大手プロダクションの社長志村喬の知遇を得て、映画会社で役をもらい、途中にはヌード写真問題も出てくるが、逆にスキャンダルを利用して大女優になっていく物語。

最初に良心的な志村喬からは本気でプロポーズされるが、高齢の志村は心筋梗塞で急死してしまう。
その後、新聞記者の津川雅彦、さらにプロ野球選手の藤巻潤と親しくなり、藤巻と結婚するが、人気者同士のすれ違いで別れ、脚本家の田村高廣と出来てしまう。

田村高広の糟糠の妻が山岡久乃で、ワン・シーンしか出てこないが、貫禄の演技はさすがで、思わず笑ってしまう。
だが、田村とも別れて一人になった若尾は、次第に精神が不安定になり、睡眠薬を多量に服用するようになり、外国の映画賞(ナポリ映画祭というのがおかしい)を受賞した朝、死体で発見される。
若尾の付け人が原知佐子で、男言葉を使い、これは適役。

全体に通俗的というより、この役は若尾文子には合っていないと思う。
やや知的には劣るが、可愛さで男の心を虜にするという役は、若尾には全く不向きである。
若尾には『妻は告白する』、『華岡青洲の妻』のような、知的であると共に強烈な精神力を持った女性はぴったりだが、こういうやや白痴的な肉体派の役は向いていない。
時間的にあり得なかったが、この千坂京子という役に一番ぴったりだったのは、言うまでもなく1960年代末の大映唯一のスターの渥美マリである。
後に、渥美まりや関根恵子らと活躍することになる篠田三郎が、ホテルのボーイ役で出ていた。
フイルム・センター

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