『体当たり殺人狂時代』

映画の題名に妖刀狗肉は多いが、これほど題名と中身が違うのも珍しい。

殺人狂時代なので、ヒステリックな犯人が殺人を重ねるのかと思うと、殺されるのは冒頭の女性一人、内容は大宮デンスケと富松千代志の人情喜劇。

監督は斎藤寅二郎、音楽は原 実だが、ラテンを使った感じから、傑作『お祭りマンボ』の原六朗の変名のような気もするが、全く違う人なのだろうか。

富松千代志は、ダニー飯田とパラダイスキングにもいたが、中山千夏の本によれば、大阪で映画『お父さんはお人好し』にも出ていた子役である。

途中で、少し上の女の子とジルバを踊るシーンがあるが、これは姉の富松アケミと思われ、彼らはかなり有名な「きょうだい歌手」だったらしい。

話は、アラメニア国というアラブの王様ジョージ・ルイカーが、死んだ長男と日本人女性との間に産まれた孫のジョージを探しにきての騒動。

殺人現場を逃れた富松のジョージは、煙突掃除屋デンスケと知り合い、彼の人情に助けられ、最後は孫と祖父が再会し、羽田空港から飛び立ってゆく。

デンスケの家は、風力発電で全自動になっていて、そのギャグは単純だが笑わせてくれる。

彼の妻は清川虹子で、全身美容で大成功しているが、残酷な仕業で美容術を施していて、こちらの方がシュールな笑いがある。

いつ見ても清川虹子の演技は上手くて、切れが鋭い。

二人の娘は池内淳子で、婚約者の技師のような気の弱い男は和田孝と一応新東宝の若手スターの二人。

殺人犯で、孫を探してきてアラメヤ国王から金をもらおうと企むのは、斎藤寅二郎喜劇常連の小倉繁で、この作品が遺作のようだ。

日本映画専門チャンネル

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コメント

  1. ym より:

    不躾な質問ですが、、
    『体当たり殺人狂時代』 この映画を録画されていらっしゃらないでしょうか?

  2. 恐縮ですが
    消去してしまいました。