『日蓮と蒙古大襲来』

1958年、日蓮宗の信者としての永田雅一が念願で作った日蓮の生涯を描く作品で、非情に面白かった。

長年の叡山での修行から故郷の安房に戻り、座禅を組んで明けた日蓮は、法華経への帰依を唱え、他の宗教を否定する。

日蓮宗、法華経の定立である。

既存の浄土宗、真言宗などを否定し、鎌倉幕府の腐敗もしてきする日蓮は、幕府と他の教団から迫害を受ける。

だが、衆生、民衆を救う彼の姿勢は、多くの下層の民衆に支持され、迫害の度に奇跡が起きて救われる。

宗教の神話にある挿話である。

その最たるものは、鎌倉の竜ノ口での処刑で、斬首されようとするとき、天がにわかに曇り、首切り人の田崎潤の刀に落雷し、剣は折れてしまう。

田崎は不器用な役者だが、伊藤大輔や渡辺邦男らには可愛がれれ、ここでも首切り人の大役に抜擢された。

だが、この撮影では、本当に刀に電気を通したので、感電して痺れてしまったそうで、本当にのたうち回ると渡辺天皇は喜んでくれたそうだ。

確かに、本当に転げ廻っているように見える。

最後は、九州に押し寄せた蒙古軍の大船団が、日蓮らが唱える「南無妙法蓮華経」のお題目で起こった神風で転覆し、消えてなくなってしまう。

戦時中に『かくて神風は吹く』という大映作品があり、ラストは大撮シーンだったが、東宝の円谷英二に撮ってもらったことは、『黒澤明の十字架』にも書いた。

戦後、大映にも特撮スタッフを整備したので、彼らの作になっている。

音楽は、伊福部昭ではなく、山田栄一で、これも重厚な響きである。

衛星劇場

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