『二人の女兵士の物語』

新国立劇場の『二人の女兵士の物語』の女兵士とは、連合赤軍の女兵士なのであった。
作・演出・坂手洋二。出演小島聖、宮島千栄。
新国立劇場でザ・ロフト・シリーズとして、小劇場を加工した空間で3本の公演が行われた。
三好十郎作、栗山民也演出の『胎内』。『胎内』は三好十郎の中では良い作品ではなく、選定に疑問があった。
篠原久美子作、宮崎眞子演出の『ヒトノカケラ』は、クローンと遺伝子治療をテーマとしていたが、ただの思いつきであり、主演のキムラ緑子の障害者の真似の不愉快さのみが残った。

以上の二本と比べれば初めて面白い作品だった。
しかし、総括、自己批判、共産主義化、兵士と言った「死語」を叫ぶのだ。
小島と宮島が真剣に演じるから困る。全くの誤解である。
あの頃、本気で「共産主義革命」や「武装蜂起」を信じていた活動家など、いただろうか。ほとんどいなかったと思う。ではなぜ、70年代の過激な運動は起きたのか。
それは、エーリッヒ・フロムの『自由からの逃走』だったが、「プロテスタントで神を信じられなくなった者ほど、過激に信仰に走った(その典型がカルバンやピューリタンである)」というのがあったが、それと同じ心情だったと思う。共産主義もマルクス・レーニンも信じられないから逆に信じて過激な行動に行く、というものだったと思う。
その辺の心情は極めて複雑であり、一方的にアジられても、それは違うよ、としか言いようがない。

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