『昭和史を読み解く』 鳥居民(草思社文庫)

先日、桜木町駅に行くと駅の本屋にあったので買った文庫本。

鳥居民は、いわゆる保守派だが、中では孤立している人らしい。私は、孤立した人が好きなので前から注目してきた。

この人の最大の著書は『昭和20年』で、昭和20年だけで、13巻もあり、多くの識者から高い評価を得てきた。

私も、初めの3冊を読んだが、この人の立場がよく分からず、途中で中断した。

これを読んで彼の位置がよくわかった。要は、異端の保守派なのだ。

太平洋戦争の責任を、通常に言われる近衛文麿にではなく、昭和天皇と内大臣木戸幸一にあるとしていることが最大の問題点だろう。

そのもとは、2・26事件の際の処理に遡る。

鳥居によれば、事件の後、いわゆる皇道派を陸軍から追放し、統制派に乗った木戸と昭和天皇は、中国への戦争に突き進み、それが日米戦争にまで行ったのだという。

非常に大胆な説で、にわかには信じがたいが、この皇道派と統制派との対立の中で、天皇と木戸が統制派を支持したのは、明治以降の日本の方向が近代化だったからであり、後ろ向きの皇道派は、彼らの意思に反するものだった。

また、ここには原爆投下について、ルーズベルトの急死でいきなり大統領になった田舎の雑貨屋のトルーマンが、自分を馬鹿にされないために原爆投下を行ったのだと書かれている。

だから、ポツダム宣言をすぐに受諾しておけば、広島、長崎への原爆投下はなかったのではないか、という説も否定している。

いずれにしてもアメリカは、やっと作りあげた原子爆弾をどこかで使い、ソ連や世界への圧力にしたかったことは事実だと思う。

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