『マテリアル・ママ』

新国立劇場は、結構良い芝居をやるが、新作は井上ひさしを除き、ろくなものがない。以前、篠原久美子が書いた『ヒトノカケラ』は最低だったが、これも同一線上を争う出来だった。ステージ・ノートには、「新たな視点で物質と精神をとらえる」とご大層なことが書かれていたが、ただ退屈なだけ、睡眠不足の解消が十分に出来た。作・演出岩松了。

初老の一人暮しの女性・倉野章子は、畳部屋に外車ミニを置き、愛玩している。
買替えを勧めるセールスマン・仲村トオルがきて、さらに隣人の岩松了らが絡みと言うものだが、何もない。

岩松の芝居は、前も『「三人姉妹」を追放されしトーゼンバフの物語』を見たが、面白くもなんともなかったのに、また岩松である。二度もひどい芝居をやったのだから、もう使わないで欲しいと思う。

唯一の救いが、仲村トオルで、木偶の棒だが、台詞は官能的。
私は関係ないが、若い女性やホモ・セクシュアルには堪らないだろう。

バスで渋谷に行き、5月末で閉店の原田尊志さんのレコード店「エル・スール」に寄る。
黒沢明に捧ぐという『七人の侍』に似せたジャケットのCDを聞くが、ただ打楽器の演奏が続くだけなので、やめる。西海岸の連中らしい。早坂文雄の曲に似ているが、やはり違う。
ここでは、ハワイの歌謡曲LPやジョルジュ・ドリューのフランソワ・トリフォー映画のCDなど、珍しいものを買った。
今回閉店して、また再開するとのことだが、是非早く再開されることを願う。
代わりにジャッキー・アンド・ロイのレコードを買うが、「閉店セールなので持って行って下さい」とタダで貰う。有難く頂く。
戻って聴くととても良かったので、昼間の不愉快さが消えた。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする