『婚約指輪』

石原慎太郎がこんな小品映画にまで出ていたとは初めて知った。
昭和31年公開の、わずか51分の東宝の添え物映画。監督松林宗恵、脚本若尾徳平と慎太郎。

慎太郎は富豪中村伸郎の息子で経済学部の大学院生。
幼馴染の金持娘白川由美と、行きがかりから婚約指輪を送るため銀座で指輪を買物うが、途中で落としてしまう。売子の青山京子が拾い、慎太郎に正直に戻す。
そこから、慎太郎は青山の庶民的で純真な性格が気に入り、白川との婚約を破棄し、青山と結ばれるという寓話的な話。
「格差社会」の今日、元祖セレブの石原東京都知事も、20代の頃は庶民的な姿を見せていたという記念碑的映画。

だが、この作品でも慎太郎は本気で演技をしているとは見えない。
その辺が、増村保造の映画『からっ風野郎』で、徹底的にしごかれ、だが自分のすべてをさらけ出した三島由紀夫との根本的な差である。
石原慎太郎は、自己をさらけ出せず、適当に格好を付けている分、映画は今一面白さに欠け、役者としては失格だったと思う。

青山京子が、慎太郎の弟石原裕次郎のライバル・小林旭と後に結婚すると思うと、世の中は複雑である。
青山京子は、吉永小百合を思わせて可愛く、また結構美人である。

ラピュタ阿佐ヶ谷

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コメント

  1. 『婚約指輪』

     現都知事の石原慎太郎が若き日に主演、原作、脚本の三役をこなした作品で、軽妙なタッチのラブロマンス。青山京子、宝田明、白川由美、中村伸郎らが出演している。 ラピュタ阿佐ヶ谷で開催中の「添えもの映画百花綾乱 SPパラダイス」での上映を鑑賞。併映は『チエミ…