リメイクとしては、とても良いデキ 『ジャコ萬と鉄』

1946年に谷口千吉が東宝で監督した作品を、1964年に東映で深作欣二がリメイクしたもの。
リメイク作品としては、とてもデキが良い。
むしろ、三船敏郎と月形龍之介の東宝版より、高倉健・丹波哲郎の東映版の方が、アクション・スターの対決としては両者互角で、圧倒的に月形より三船の方が強く見える谷口作品より良いとも言える。
また、東宝版では、三船の恋人が久我美子で、教会のオルガン弾きというセンチメンタルさが目立ったが、高倉健では、死んだ友人の妹で開拓民の娘入江若葉になっていて、不自然さがなかった。
晩年は、荒っぽさのみが目立った深作だが、この頃はまだ丁寧に作っている。

北海道のニシン場で繰り広げられる男性的ドラマで、大変面白い。
だが、片目の男ジャコ萬やアイヌの血を引く女(ここでは高千穂ひづる、前作では浜田百合子)等が出てきて、差別問題にかかるので、テレビではなかなか放映しにくい作品である。
音楽は、北海道出身の佐藤勝で、いつもの勇壮なメロディーを奏でる。
撮影がニシン漁の時期と違っていたためか、最後のニシンの網上げのカットと網中のニシンの実景は別のものの繋ぎになっている。また、実景の魚が本当にニシンか、やたらイワシのように小さく疑問に思った。
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