昨日、見た『流転の王妃』の「天城山心中事件」は、大変な事件だった。
新東宝の社長だった大蔵貢は、1957年12月10日に事件が起きると、自分の富士映画で映画化を急遽決め、石井輝男に監督させた。
そして、翌年1958年1月26日には公開しているのだからすごい。
脚本はあったが、石井が現場でどんどん書き換えて作品にしたとのこと。
49分の作品なので、要は今テレビでよくやる再現ドラマのようなものだったろう。昔、テレビで見た気もするがよく憶えていない。
さて、今でも週刊誌やテレビでは、小室某と秋篠宮家の女性との婚約問題が何度も蒸返されて騒ぎである。
小室某の問題程度で、大騒ぎなのだから、元満州国皇帝溥儀の姪の心中事件は大変な問題だったと思う。
これを映画化したのは、大蔵貢、そしてラッパの永田雅一だったのは、二人とも興行というものに大変に長けた男だったといえる。
新東宝の大蔵貢の際物映画に対抗するためには、大映の永田雅一としては、「これは際物ではなく、文芸映画ですよ」ときれいごとにせずにはなかったのかもしれないなと同情した。